障害者避難、支援強化へ 【毎日新聞】


1月31日

1月30日の毎日新聞の記事です。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120130ddm001010072000c.html


~以下転記~

災害時要援護者:障害者避難、支援強化へ 政府方針、ガイドライン見直し

 自力で避難するのが難しい障害者や高齢者ら「災害時要援護者」について、政府は東日本大震災を受け、被害実態の調査と「避難支援ガイドライン」を見直すことを決めた。大震災では障害者の死亡率が高く、障害者団体などが被害の公的調査と共に、従来の支援策が有効に機能しなかったとして見直しを求めていることが背景にある。12年度内の見直しを目指す。

 内閣府は12年度予算案に、避難対策推進の事業費(4500万円)を計上。内閣府防災担当によると、この一部を使い、障害者の大震災時の死亡状況や避難行動、避難しなかった場合の理由、避難後の状況などを調査する。対象となる自治体や調査方法は今後詰める。調査を踏まえ、現在は自治体ごとに異なる名簿の作成方法や取り扱いのほか、要援護者ごとの支援者の確保方法、障害ごと・災害ごとの避難方法も再検討し、ガイドラインを見直す。一定の条件を満たす障害者団体と事前に協定を結び、緊急時に名簿を自治体側が開示して協力し合うことも検討対象という。

 毎日新聞の調査では大震災で岩手、宮城、福島3県の沿岸33市町村のうち、障害者手帳所持者に占める犠牲者の割合は約2%で、住民全体の死亡率より2倍以上高かった。国は05年に避難支援ガイドラインを定め、市町村に避難支援計画の策定や名簿の作成を求めてきたが、津波による逃げ遅れがあったとする自治体も少なくない。

 大震災後、障害者団体などが現地で支援に乗り出したが、福島県南相馬市を除く大半の自治体は個人情報保護を理由に名簿を開示せず、犠牲の詳細は不明。内閣府障がい者制度改革推進会議ではメンバーの障害者団体から「津波警報が聴覚障害者に伝わらなかった」「人工呼吸器装着者らが座して死を待つ状況になった」などの指摘が出ていた。【野倉恵】

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 ■ことば

 ◇災害時要援護者の避難支援ガイドライン
 内閣府は障害者や高齢者、妊婦、乳幼児らを災害時要援護者になり得る人と位置づける。ガイドラインは、要援護者の名簿作成や民生委員との連携などの全体計画と、一人一人の支援者や避難場所を決める個別計画を作るよう市町村に求めている。名簿作成時に本人の同意を得る自治体が多いが、登録を望まない人が対象から漏れることや、都市化や高齢化で支援者確保が難しいことが課題。昨年4月の総務省消防庁調査では、市町村の77%が全体計画を策定済みだが、個別計画も作ったのは22%(岩手の一部、宮城、福島の市町村を除く)にとどまる。

毎日新聞 2012年1月30日 東京朝刊